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6/6(金)上映「青春の殺人者」トークレポート

「俺と染谷将太がタッグを組むなら
どんな映画が良いか、アイデアをくれ」

ゲストには、本作監督の長谷川和彦さん、そして書籍で本作について語っている俳優の染谷将太さんが登壇されました。立ち見が出る大盛況の中、トークが行なわれました。その模様を、かいつまんでレポートいたします。

(長谷川和彦さん)
彼とは今日初めて会ったが、呼び方は「将太」でいいか? 水谷豊のことも「豊」と呼んでいた。おれのことは「ゴジ」と呼んでもらえれば。今日は将太のおかげで、若いお客さんや、女性のお客さんも多い。初めて観るという方も多いようで、とても嬉しい。
本作を「特別な一本」として挙げている俳優がいると聞いて、以前から将太のことは気になっていた。将太も『ヒミズ』で親を殺す役を演じている。しかも、豊の娘(女優の趣里さん)より若いということで、ちょっとしたカルチャーショックのようなものを感じた。
昨日『WOOD JOB!』(矢口史靖監督)も観て、コメディもやれて役の幅があるし、変に色がついていないところが良いと思った。

(染谷将太さん)
僕は父親が映画好きだったこともあり、映像に興味があったので、子役をやっていた。矢口監督は、昔の作品も観ていてとても面白く、いつかご一緒したいなと思っていた。でも、自分では笑わせる役は得意ではないと思っているので必死だった。
小学生の頃、テレビドラマの『相棒』シーズン1に、人を殺す役で出演したことがある(笑)。そして水谷豊さん演じる杉下右京にしょっぴかれてしまった。

●本作の内容について

(染谷将太さん)
今年発売されたBlu-ray版『青春の殺人者』は購入しているが、こうして映画館で、フィルムで観たのは初めて。
高校1年生のときに、友達を巻き込んで自主映画を監督し、主演もしたことがある。その作品は公にしたことはないが、60分ほどの中編で、人を殺してしまった青年が、出所したあとを描いた話だった。青年が名前も変えて、新しい友人もでき、偽装生活を始める。でも素性がバレて…というもの。
そういう作品を撮った直後の、2年生の時にDVDで初めて本作を観て、すごく面白かった。僕が自主映画を撮るにあたり、殺人を犯してしまった主人公の心境や、取り得る行動について考えていたことと、『青春の殺人者』の登場人物たちの心境や行動が合致している気がして、まさに「こういうことだ!」と思った。

(長谷川和彦さん)
おれはもともと「いい子」で、それが嫌だった。誰しも「自分は本当にいい人間なのか?」と自問することはあるだろう。そして、いっそ悪いことをしてしまえ、という犯罪者願望のようなものが起こる。そこでおれは、「悪いことをする自分」の分身をフィクションに登場させて、悪いこととはそもそも何なのかということについて探りたいと思ったんだ。
「犯罪」というのは悪いことだと決められているけれども、それは誰が決めたことなのか。犯罪をおかした人間は、彼の中ではそれを悪いことだとは思っていなかったんじゃないか。そのようにも考えていた。

●作品の成立について(長谷川和彦さん)
中上健次の『蛇淫』という短編小説を読んで、両親殺しを映画にしようと思った。しかしその小説の骨格は、主人公が淫乱な女によって身を滅ぼされたというもので、そんなに興味が湧かなかった。むしろおれでも分かるような、自己愛をベースに、計画性もなく、なし崩しに殺人を犯すという話なら、やれるかなと。若い男のウロウロした悩みが結果として親殺しになるという、青春映画として描こうと考えた。

●水谷豊さんのキャスティングについて(長谷川和彦さん)
豊は当時『傷だらけの天使』というテレビドラマに出ていて、ショーケン(萩原健一さん)を食うぐらいに存在感があった。それで本作の主人公を探しているときに会いにいった。豊には、ジェームズ・ディーンをやらないか、というふうに口説いたが、蓋を開けたら両親殺しの話で、褒められる役ではないから、少しはビビったようだったが、すぐに「やる」と言ってくれた。
『エデンの東』は中学生のときに観て、ダメな次男坊を演じたジェームズ・ディーンに自分を投影して辛かった。おれにも出来の良い兄貴がいて、家庭の中で居場所がないように感じ、親に自分の方を向いてほしいという飢えのような気持ちがあった。

ここからは、質疑応答の時間となりました。
まずは、主人公の心情について、両親を殺したあとも逃げるでもなく、自分のことばかり考えている点が腑に落ちなかったのだが、というもの。

(長谷川和彦さん)
豊の役は、自分の投影として撮っている。まさに仰る通りで、ダメな姿を、ダメなままに正直に撮ろうとした。犯罪者が、じつは立派な内面を持っている、というふうに描いてしまうと、当時のおれにとっては嘘になったからだ。

続いて、学校のクラスで劇をやるのだが、その作中に狂気を含んだシーンがある。どういう演出をしたらよいか?という質問がありました。

(染谷将太さん)
役に対して、こういう風に演じようというアイディアがあれば、それをやってみるのも良いと思う。ただ、自分が演技をするときに心がけているのは、純度100%の無垢な状態で、ピュアにやろう、ということ。

(長谷川和彦さん)
まず「狂気」という言葉を使っていてはダメだ。それはいわば、苦し紛れの言葉であると思う。たとえば日本中が戦争万歳と言っているときに、戦争に反対すれば狂気と呼ばれる。時勢によって、何を狂気と呼ぶのか、という認識は変化するんだ。だから、いま表現しようとしているものが、本当に「狂気」と呼べるものなのか、まず疑ってみること。いまの時代の価値観に、安易に寄りかからないようにするのも大事だろう。

そして最後に、染谷さんから長谷川監督に「僕のような役者に、何をやらせたいか?」という質問が向けられました。

(長谷川和彦さん)
将太は、本質的には、おれと似たようなところがあると感じている。絶対に信じているものがない、というあたりなど。だから、68歳のウロウロジジイと、20歳過ぎのウロウロ青年で、そのウロウロ同士を正直にぶつけあっていけば良いと思う。
おれがこれまで書き溜めてきて、まだ実現していない脚本のうちで、あの役を将太にやらせれば面白いな、という構想はある。また逆に、将太があの題材をゴジに撮ってもらいたい、という思いつきがあれば、知らせてほしい。
また、皆さんからも、将太とおれが仕事をするのならばこういう映画がいい、というアイディアがあれば、おれのTwitterでも良いので、ぜひ連絡してほしい。そしてまた、将太とおれが作った新作映画で、このようなトークショーをできればいいと思っている。

長谷川監督から、今後の新作に向けた意気込みの言葉が聞かれたところで、素敵なトークは終了となりました!

上映後に関係者によって行なわれた打ち上げでは、長谷川監督がさらに絶好調に吠えまくっておられました。

またディレクターズ・カンパニー時代に、連合赤軍映画化を画策していた際の、貴重なエピソードも飛び出しました。監督いわく、あさま山荘を数千万円で購入する話になっていたが、相米慎二監督の『光る女』が大コケしたため、製作自体が頓挫せざるをえなかった、とのことでした。

こうして、5/24(土)から2週間にわたり、テアトル新宿で実施してきた「観ずに死ねるか!傑作青春シネマ」出版記念特集上映会は、すべてのプログラムが終了しました。
ご来場くださった皆様、誠にありがとうございました。

上映イベントには、のべ3,000人ほどのお客さんと、30人以上のゲストにお越しいただきました。ゲストの皆さんからのサインは、宝物になりました。

そしてまた、新たな「観ずに死ねるか!」上映会にて、再びお会いできることを楽しみにしています。
ぜひ、今後の展開にもご期待ください!!

6/5(木)上映「狂い咲きサンダーロード」トークレポート

「映画があったから
犯罪者にならずにすんだ」

本作監督の石井岳龍さんと、書籍に本作のレビューを寄稿されているライター・デザイナーの高橋ヨシキさんが登壇されました。

高橋さん進行のもと、トークが行なわれました。その内容をかいつまんでレポートさせていただきます。

●制作の経緯や脚本のアイディア(石井岳龍さん)
日本大学芸術学部の卒業制作として撮った。
かねてから、ロック映画を作りたいと思っていた。また暴走族にも興味があり、人間とマシーンが一体となって走る、という映像のイメージをずっと持っていた。彼らのスピード感に憧れていたので、社会的な目線から描くのではなく、アウトローな人たちのスピード感のある映画を撮りたいと思っていた。

●ロケ地 
(石井岳龍さん)
福岡県の博多出身で、大学で上京したが、東京は人が多く圧迫感があって、居心地が悪かった。郊外にある廃墟やコンビナートに行くと心が落ち着いたし、映画としても画になる風景だったので、ロケ地として選んだ。

また、冒頭のバイクのシーンだけでも、博多や川崎、箱根などの道路や火山を組み合わせている。映画というのは、編集でいろいろな風景を組み合わせることができるので、良いところを全部繋いでやれと思っていた。
この手法が出来たのも、カメラマンの笠松則通さんの腕があってのことだ。

(高橋ヨシキさん)
密売人の子どもと出会うシーンでは、九州の炭坑と、阿佐ヶ谷の高架下が組み合わされているそうだが、色味などを含め、全く違和感なく繋がっている。

●音楽を担当された泉谷しげるさんについて(石井岳龍さん)
大学1年のときに撮った映画『高校大パニック』を泉谷さんが観てくれて、「面白いものを作っているな」と連絡をくれた。
泉谷さんは自分にとって大スターで、当時、泉谷さんがやられていた音楽や、作っておられた実験映画に、表現者として影響を受け、何か一緒にやりたいなと思っていた。

本作では、泉谷さんの事務所や自宅やその周辺をロケ地として使わせてもらっている。
また、本作ポスターのイラスト・デザインがインターネットでは小林よしのりさんによるものとの噂が広まっていたが、こちらも泉谷さんに手がけてもらったもの。

●仁役の山田辰夫さんについて
(高橋ヨシキさん)
演技が本当に素晴らしい。辰夫さんは、この仁役を演じて、本当にこういう性格の人なんだと思われることが多く、本作以降、依頼される役の幅が狭まったらしい(笑)。

(石井岳龍さん)
俺が知っている辰さんは、仁に近い性質だった。辰さんの本質は、一匹狼だと思う。まるで本物の暴走族のような、雰囲気のある俳優さんで、だからこそこの役を演じられたんだと思う。
台詞はほとんどアドリブだと思うが、それらを思いつく際のスピード感がすごかった。現場で辰さんがアドリブをかますのに対して、剛役の小林稔侍さんは動じず、脚本通りにぴしっと決める。その感じがたまらなかった。

撮影している当時は、一生懸命だったので分からなかったが、時を経て改めて観ると、辰さん含め、本作に映っている役者たちの表情には、ものすごい殺気がこもっており、活き活きしていることに気づかされた。

ここでサプライズゲストとして、本作の助監督を務められた、映画監督の緒方明さんが登壇されました。

(緒方明さん)
石井さんとの出会いは、僕が大学に入ったばかりのときに、九州で石井さんの8ミリ映画上映会のお手伝いをしたこと。その打ち上げで「僕も映画監督になりたい」と言ったら、「東京に来て俺の弟子になれ」と言われた。それを本気にして上京したら、石井さんに「本当に来たのか」と(笑)。それから、六畳の部屋で一緒に暮らすことになった。

●撮影現場のエピソード
(緒方明さん)
工事現場や撮影所のゴミ置き場から、小道具になりそうなものを拾ってきては、あらゆるものをスプレーで銀色にしろ、と監督から言われた。
また画面が淋しいと「緒方、行け」と言われ、頻繁に僕が出演している。

最後のアクションシーンは、わずか3人のスタッフで撮った。小林稔侍さんに助監督のようなことをやらせてしまったシーンもある。現場はとにかく殺伐としていて、撮影の笠松さんはもともと寡黙だし、笑いが起きることはほとんどなかった。

(石井岳龍さん)
寒いし、みんなお腹も空いていたからだと思う(笑)。お金がなくなり、撮影が中断することもあった。自分はどうしてこんなことをしているんだ、と思うこともあったが、異常なまでの信念があったんだろう。無謀かもしれないが、面白い映画を撮るんだ、という気持ちだけはあった。

●30数年後の上映会で、満席のお客さんを前にして
(緒方明さん)
こうした若気の至りで撮った映画は、普遍性を持つのだろう。まさか自分が50歳を過ぎて、本作の上映で満席のお客さんの前に立つとは思いもよらなかった。

(石井岳龍さん)
当時は怖いものがなかった。そこから尋常ではないパワーが生まれたことによって、ある種の特別な世界が生まれたのだと思う。
また、暴走族のスピード感や、アウトローな世界観は、映画という表現にとても合うと思う。当時はそのことを意識していた部分もあるけれど、たとえこのように作れ、と言われても作れる映画ではないように思う。

今日、満員のお客さんを目の前にして泣きそうになった。これからは、今の自分の歳でできることをやって、この状態をまた作りたい、絶対やってやるぞと強く思った。映画をみんなで一緒に観ることで生まれる熱気は、とても良い。劇場にこそ、映画が持つトータルな魅力が結集されるのだと思う。

ここから、質疑応答の時間となりました。

●仁さんが退院するシーンの表現が謎めいているが、解説してほしい。
(石井岳龍さん)
仁の心象風景を表したかった、としか説明のしようがない。当時カリスマ的な存在だった、寺山修司さんの「天井桟敷」にも強く影響を受けていて、ああいう表現になった。ただ、このシーンは、音楽ありきのシーン。音楽を当てはめてみると、映像とピシッとハマったのには驚いた。

●今後、アクション映画は撮られる予定はあるか? 
(石井岳龍さん)
次回作はロックアクション映画。これまでの路線とは違うものだが、今の自分にしか撮れないものを撮りたい。見た目も、登場人物たちの感情も、激しく、ギシギシいうような、それでいて深みのあるロック映画にしたいと思っている。

最後に、緒方監督、石井監督にとっての「傑作青春シネマ」についてお伺いしました。

(緒方明さん)
『青春の蹉跌』。地元の佐賀県の映画館で観て、神代辰巳監督の演出、萩原健一さんの演技、姫田真佐久さんの撮影、すべてが素晴らしかった。自分の映画には直接的に影響を受けてはいないが、いまだに心に残っている。

(石井岳龍さん)
書籍『観ずに死ねるか!傑作青春シネマ邦画編』に載っているような映画があったから、自分は犯罪者にならずにすんだ、これらの映画に救われたと言っても過言ではない。なかでも印象深いのは『青春の殺人者』で、劇場で観たときのお客さんの熱気がすごかった。また『ガキ帝国』は、ラストシーンに衝撃を受けた。『キッズ・リターン』は、ここテアトル新宿で観て、上映後に拍手が起きたのが印象的だった。

最後に石井監督より、「今日のこの劇場の熱気を次回作に持ち込みたい」との力強い言葉を頂き、トークショーは終了しました。
トークの後には、サイン会も実施され、長蛇の列となりました。

「観ずに死ねるか!傑作青春シネマ」出版記念特集上映会は、残すところあと1日となりました。最終日も、豪華なゲストの方々がご登場されます!ぜひご期待ください。

6/4(水)上映「サウダーヂ」トークレポート

テアトル新宿に『空族』大集合!
田我流さんのフリースタイルに痺れたyo!!

本作監督の富田克也さん、本作出演のラッパーの田我流さん、芸人の大谷ノブ彦さん、さらに本作出演の伊藤仁さん、川瀬陽太さん、そして、お笑いコンビ「こりゃめでてーな」のメンバーで、「mckj」として自虐ラップなどの音楽活動をされている大江健次さんがご登壇されました。

大谷さん進行のもとトークが行なわれました。以下にかいつまんでレポートいたします。


(左から、大谷ノブ彦さん、富田克也監督、田我流さん、伊藤仁さん、川瀬陽太さん、大江健次さん)

●キャスティングについて
(大谷ノブ彦さん)
コントや舞台は、お客さんと「嘘」をすぐ共有できる。それに比べて映画というのは、嘘を共有するための説得力のレベルが、相当高いものではならないと思う。そんな中で本作は、会ったことはないがどこかで会った気がする人たちばかりが登場して、すごくリアリティがある。その意味でも、キャスティングが素晴らしいと思う。

(富田克也さん)
堀精司役の廣野毅は小学校からの、ビン役の伊藤仁は高校生からの同級生。最初に映画を撮りたいと思ったのは、身近な人間である彼らを撮りたいと思ったのがきっかけで、その後もずっと出てもらっている。

田我流は当時、stillichimiya(スティルイチミヤ)というHIPHOPグループで、山梨県の東八代郡一宮町が、石和町、御坂町など5つの近隣町村と、理不尽な合併をさせられようとすることへの反対運動を展開していた。その頃に、新聞で彼らの存在を知り、山梨県内のライブイベントで知り合った。10歳も年下の田我流たちが、HIPHOPで自分たちと同じようなことをしているのを知って、いつか一緒に何かやりたいなあ、と思っていた。

(田我流さん)
富田監督の前作『国道20号線』の上映に際して、トークショーに呼んでもらった。ザラザラしていて、ホコリっぽくて、なんてイナタい映画なんだろうと思った。最高だった。

(川瀬陽太さん)
『国道20号線』を観たときに、すごいヤツが登場したなと思っていた。その上映会で富田監督と知り合い、本作に呼んでもらった。

●舞台となった山梨県甲府市について
(富田克也さん)
甲府駅前はシャッター街で、閑散とし過ぎており、本当にやばいと思う。

(川瀬陽太さん)
確かに、撮影で初めて行ったが、甲府の状況にはびっくりした。

(田我流さん)
甲府市が栄えていたバブリーな時代を知らない世代なので、今の寂れている状況は、自分にとっては日常の光景でもある。

(伊藤仁さん)
僕は今も甲府が好き。昔、みんなで遊んでいるときは楽しかった。

ここで客席に本作を観に来ていらした大江健次さんがご登壇されました。

(大江健次さん)
僕は、風俗街として有名な埼玉の西川口出身。学生の頃は外国人も多く住んでいて賑わっていたが、今はさびれ始めていて、本作の状況ととても似てきている。本作を観て、地元をなんとかしなきゃな、という気持ちになった。

●劇中のラップについて
(富田克也さん)
知らない人が結構いるが、田我流が演じた「UFO-K」という役名は、後ろから読んだらKOFU=甲府になる(笑)!
本作に登場するHIPHOPグループ「アーミービレッジ」のクルーの名前も、山梨の誇り、武田信玄二十四将からつけている。

役者たちにイメージを伝えるため、ラップの内容も脚本にある程度書いていったが、とにかくダサかった。そこで、ラップは本業である田我流に全て任せた。
田我流がアーケードでフリースタイルをするシーンは、40テイク行なったが、全てのテイクで違うフリースタイルをやってくれた。なかでも「アーケード、歩けーど」というリリックを思いついたのはすごすぎる!

(田我流さん)
本当の意味で、フリースタイルを映画にとりいれたのは俺が初めてじゃないかと思う。他の誰かに気づかれなかったとしても、歴史上、俺がラッパーとして一番になれるんじゃないか、という野心があった。

(大谷ノブ彦さん)
HIPHOPの本質的なところを、本作では体現していると言えると思う。

●本作のDVD化はあるのか?
(富田克也さん)
公開の後すぐにDVD化をすると、映画館にお客さんが来なくなるのは当たり前。そのため、DVD化されるサイクルを変えたいと思っているので、数年後にはDVD化もあり得る。

ここでmckjさんと、田我流さんのフリースタイルが行なわれ、会場中が痺れました。

続いて、質疑応答の時間となりました。

●フィルム撮影へのこだわりは? 
(富田克也さん)
自分がこれまで観て来たのはフィルムの映画なので、自分にとって映画とは、フィルムで撮られたものという認識がある。また、デジタルへと以降する時代の流れに、抵抗していきたいという思いもある。今後もなるべくフィルムで撮影したい。

ちなみに、前作の『国道20号線』は16ミリフィルムで撮影している。お金がなかったので、ほぼ一発撮りで行なった。台詞を間違えたり噛んだりしても、日常生活でもそれは起こり得ることなので、映画のリアリティに繋がったと思っている。

●HIPHOPの映画を撮る上で過去作品からの影響は?
(富田克也さん)
目の前にあるものありきで映画を撮っていくスタイルなので、田我流たちに出会った時から、本作脚本を担当した相澤虎之介と、HIPHOPの映画を撮ってみたいと話していた。

最後に、みなさんにとっての青春シネマについてお伺いしました。

(富田克也さん)
柳町光男監督の映画が大好き。強烈に影響を受けた。

(田我流さん)
『クール・ランニング』。あのノリでいつまでも生きていきたい。

(伊藤仁さん)
『カリートの道』。

(川瀬陽太さん)
『幕末太陽傳』と『スカーフェイス』。

最後に、富田監督から、以下のような言葉がありました。

僕たちは、今の映画界の状況がよくないといわれている中、空族というチームで、自分たちなりの問題提起をしながら、映画を作っている。自分たちは映画が大好きで、映画をずっと撮ってきた。今後も引き続き、このチームで映画を作っていきたいと思っている。劇場で、これだけ多くの方と映画を共有するということに、価値があると思っている。今夜はお集り頂き、ありがとうございました。

以上、熱いメッセージを頂いて、トークショーは終了しました。

トークの後にはサイン会も実施され、多数の方にご参加頂きました。

「観ずに死ねるか!傑作青春シネマ」出版記念特集上映会は、6/6(金)まで。残り2日となりました。今後も豪華なゲストが登場します。ぜひ、引き続き足をお運びください!

6/3(火)上映「おとぎ話みたい」トークレポート

劇場が山戸結希ワールドに包まれた夜。
サプライズゲスト趣里さんがステージで朗読!

上映後、観客の皆さんの熱気が充満するなか、トークが行なわれました。

本作監督の山戸結希さん、本作の音楽を担当し、出演もされたロックバンド「おとぎ話」ヴォーカル&ギターの有馬和樹さん、そして本作の企画/配給プロデューサーの直井卓俊さんが登壇されました。

直井さんの進行のもとトークが行なわれました。以下にその内容をかいつまんでレポートいたします。

●「おとぎ話」の楽曲使用の経緯
(直井卓俊さん)
2012年に、山戸監督の『あの娘が海辺で踊ってる』を観て衝撃を受けた。そこで、僕が企画している、音楽と映画を掛け合わせた作品を制作して上映する「MOOSIC LAB」という映画祭に声をかけたところ、山戸監督は即答で「おとぎ話さんで映画を撮りたい」と。その後に提出していただいた企画書の段階で、すでにやりたいことがすごく明確だったのを覚えている。

(有馬和樹さん)
僕たちの楽曲は、それだけで完結している曲も多いし、子どもからお年寄りまでが口ずさめる日本語の曲、というコンセプトでやっていたので、依頼をされるまでは、映画とはあまり結びつかないんじゃないかと思っていた。しかし、山戸監督の『Her Res ~出会いをめぐる三分間の試問3本立て~』という作品での音楽の使われ方を観て、曲の本質をよく理解されているなと感じ、引き受けることにした。映画の冒頭で弾き語りをする「光の涙」という曲は、この話をもらってからすぐに作った。

(山戸結希さん)
もともと、おとぎ話さんのファンだった。おとぎ話さんの音楽は、物語を想起させると思っている。
また、女の子のキワキワな精神状態のときに流れる音楽は、絶望的なものよりも、おとぎ話さんのような包み込んでくれる音楽のほうが良いと思っていた。

ここでサプライズゲストとして、本作主演の趣里さんが登壇されました!

そして趣里さんには、山戸監督が書籍に寄稿された『Wの悲劇』についてのレビューを、有馬さんのギターによる生伴奏のもと、感情たっぷりに朗読していただきました。

趣里さんの力強くしなやかな声によって、山戸監督の強度のある言葉が、会場を埋め尽くしました。

その後、趣里さんを交えて、トークが再開されました。

●趣里さんご出演の経緯
(山戸結希さん)
本作は趣里さんに主演していただこうと、最初から決めていた。脚本は趣里さんへの手紙のつもりで書いた。

(趣里さん)
出演した『東京無印女子物語』という映画の上映の際に、山戸監督の作品も上映されていて、その時に初めてお会いした。
最初に脚本を読んだときは、この膨大な台詞を覚えるんだよな、と思った(笑)。ともかく、現場に行って演じてみないとどうなるか分からないと思った。

●本作についての感想
(有馬和樹さん)
ライブに来てくれる若い女の子たちが、本作を観て、触発されているという話をよく聞く。僕自身もそうで、本作から刺激を受け、アンサーソングのようなものも含めて、新曲をたくさん作っている。観た人を奮い立たせる映画ということで、これぞ青春映画なんじゃないかと思う。

本作のラストシーンで使われた「COSMOS」という曲は、自分にとって最も大事な曲のひとつ。山戸監督と初めて話をしたとき、目を合わせた瞬間、この人にはこの曲を投げられるなと思い、使っていただくことに決めた。そして本作を観たときには、自分がこの曲について想像を巡らせるときに、本当はこういう景色が観たかったんだな、と思わせてくれるシーンに仕上がっていた。

また、『おとぎ話みたい』を観て以来、映画そのものが好きになり、よく観るようになった。

(山戸結希さん)
自分にとっては、本作はすでに過去のものになってしまっている。しかし上映されたときには、お客さんにとってはいつも現在のものとしてあり、本作を発見してくれていることが有り難い。お客さんからのフィードバックに、得るものがすごく多い。

(趣里さん)
この映画を通して、言葉の持つ力というものを再認識した。先ほど朗読した山戸監督のレビューも、受け取る側ひとりひとりが、それぞれの解釈をできる余地がある内容だと思う。本作の台詞を、自分が話すことができて嬉しかった。

続いて、質疑応答の時間となりました。
まずは、本作に特徴的な、ふだんは口にはしないような台詞について質問がありました。

(山戸結希さん)
脚本を書いている時点から、台詞を発する肉体についてイメージしている。本作では、趣里さんが台詞を発して初めて、世界がガラッとその様相を変える。

今の日本にある、と私が感じている「リアリティの抑圧」のなかで、あえて現実では起こらないようなことをこそ撮りたいし、フィクションにしかできないことをやっていきたいと思っている。社会の中では表面化しておらず、聞こえてこない言葉だとしても、心の中では確かに鳴っていたり、また互いに見つめ合っているときだけは、確かに流れているような映像をこそ、撮っていきたい。

続いて、本作の途中から趣里さんが鳥のように羽ばたいていきそうに見えてきたが、そこに監督の狙いはあったのか?という質問がありました。

(山戸結希さん)
撮影時に、言語化はしてないものの、趣里さんだけは重力を越えて、宇宙まで飛んで行く白鳥のようなイメージはあったのかもしれない。

最後に、登壇された皆さんにとっての「傑作青春シネマ」をお伺いしました。

(有馬和樹さん)
『太陽を盗んだ男』。高校生のときに観たら、主人公と同じことをやっていたと思う(笑)。

(直井卓俊さん)
『家族ゲーム』。自分が邦画に目覚めたきっかけになった作品。たとえ予算が足りなくても、アイデアやセンス次第で、素晴らしい映画ができるということが分かった。今でも、悩んだときに観ている映画。

(趣里さん)
『ヒポクラテスたち』と『青春の殺人者』(笑)。

(山戸結希さん)
『リリイ•シュシュのすべて』が大好き。

以上、立ち見のお客さんもいらっしゃるなか、本編よりも長時間となったトークショーが終了しました。

トークの後には山戸監督によるサイン会が行なわれ、長蛇の列となりました。

「観ずに死ねるか!傑作青春シネマ」出版記念特集上映会は、6/6(金)まで。残り3日となりました。今後も豪華なゲストが続々登場します。ぜひ、引き続き足をお運びください!

6/4(水)「サウダーヂ」一般席完売!

6/4(水)19:30~「サウダーヂ」トークゲスト:富田克也監督&田我流&大谷ノブ彦
一般指定席218席完売しました。
引き続き、立ち見券を販売中です。
なお立ち見券はテアトル新宿窓口のみにて販売、オンラインでは購入できません。

<テアトル新宿窓口販売>
全日程分販売中
<テアトル新宿 オンライン予約販売>
全日程分販売中。上映開始の1時間前まで。
http://www2.ttcgreserve.jp/theatre_shinjuku/schedule/indexPre.php?dsType=pre
※劇場窓口先行販売にて全席完売の場合、
オンライン予約での販売はございません。

<立ち見券>
全日ともにあり
※一般座席が完売しだい劇場窓口でのみ販売。
オンライン予約での販売はございません。

6/2(月)上映「トキワ荘の青春」トークレポート

売れっ子CMディレクター、
市川準が描いた青春の孤独

本作の古き良き時代の空気感が、劇場に余韻を残すなか、トークがスタートしました。
本作に出演されている映画監督の原一男さんと、漫画家の内田春菊さんが登壇されました。
以下に、内容をかいつまんでレポートさせて頂きます。

●出演の経緯
(原一男さん)
市川準監督とは、ベルリン映画祭で初めてお会いした。市川さんは『病院で死ぬということ』を、私は『全身小説家』をそれぞれ出品していた。市川監督の第一印象は、妙に落ち着きがあって、年下とは思えないほど老成して見えたのを覚えている。ベルリンで親しくなり「役者として出してくれない?」と頼んだ。日本に帰ってから、わりとすぐに本作の出演依頼をもらった。市川さんは、素人をよくキャスティングすると聞いていたから、また次も声かけてくれるかなと期待していたが、本作の後にはもう依頼がなかった(笑)。

(内田春菊さん)
役者として、東京乾電池オフィスに所属していたのでキャスティングされた。市川監督とは、漫画家としてCMの仕事で本作以前にお会いしていた。

●市川監督の演出について
(内田春菊さん)
私自身には、あまり演出はなさらなかった。赤塚不二夫さんを演じた大森嘉之さんに対しては、大森さんの演技の型を全部外そうとするような、厳しい演出をされていた。市川監督の『BU・SU』や『会社物語』の試写会に行ったときに、出演の富田靖子さんやハナ肇さんが「くたくたになりました」と仰っていたのを覚えている。
あと、台本もよく変わる人だと聞いている。私の衣装も、当日いきなり変更になった。

(原一男さん)
リハーサルを何度もやった。市川さんから「自然にやってください」と何度も言われたので「自然に、と言われれば言われるほど、自然にできなくなっちゃいますよ」と言ったら、「そうだよな」と苦笑いされ、その後は演技にOKを出してくれた。市川さんが仰っていた「自然に」とは、どういうイメージだったのか、ずっと気になっている。

また、市川さんが『東京夜曲』を撮影する時に、僕は出演していた桃井かおりさんのドキュメンタリーを撮っていたので、現場にお邪魔した。市川さんは桃井さんに「今までの桃井の型を全部捨てろ」と言っていた。
その一方で、市川さんが監督した「タンスにゴン」のCMでは、桃井さんの芝居は抑えられていないし、CM自体も弾けた仕上がりとなっている。市川さんは、CMでは役者の「素」の部分の良さではなく、「非日常」の部分でやってもらっていると言っていた。CMの反動で、映画では芝居することを抑えた、文字通り「自然な」、そして淡々とした作品を撮りたかったのではないだろうか。

●共演者について(内田春菊さん)
古田新太さんは、市川監督から「もっと痩せて」と言われたが、 ダイエットに失敗したそうで、監督から「がっかりしたよ」と言われたらしい(笑)。つのだじろうさんを演じた、中国人の役者の翁華栄さんは、つのだ先生に本当にそっくりで驚いた。今でも、中国で役者として活躍しているとのこと。

お二人のトークの後、質疑応答の時間となりました。

会場から、本作の寺田ヒロオさんのように、売れるか売れないかではなく、自分の信念のもと、面白いと思う漫画を書いていくというスタンスについてどう思うか?という質問がありました。

(内田春菊さん)
私もデビュー前には、そのことについていろいろ考え、悩んだこともあったので、本作に登場する漫画家たちの葛藤はよく分かる。デビューした当時、セックス描写のできる女性漫画家チームの一員として括られ、またそのチーム内で作品や名前を間違えられることが多く、孤独感を感じることもあった。若い人の孤独感が『トキワ荘の青春』ではちゃんと描かれているところが、青春映画として素晴らしいと思う。

また原一男監督に「今、興味のある人物は?」という質問が寄せられました。

(原一男さん)
いない。『ゆきゆきて、神軍』の奧崎謙三さん以上の人を、これまで探してきたが、時を経て、奥崎さん以上の人はいないという結論に至り、絶望している。奥崎さんは、怖さとセットで面白い。ただ僕は、あの作品の撮影当時、彼を怖いと感じるのよりも、目の前で起きている事実に対してどうすればいいのか分からず、ただカメラを回し続けることしかできなかった。

また、原監督にとっての「傑作青春シネマ」は、1960年代の作品のため書籍には収録されていないが、『若者たち』(1967年 森川時久監督)が好き、とのことです。

以上で、トークは終了しました。トーク後にはサイン会が実施され、多数の方にご参加いただきました。

「観ずに死ねるか!傑作青春シネマ」出版記念特集上映会は、6/6(金)まで。残り4日となりました。今後も豪華なゲストが続々登場します。ぜひ、引き続き足をお運びください!

6/1(日)上映「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」&「四月物語」トークレポート

岩井俊二監督が選んだ傑作青春シネマは
「限りなく透明に近いブルー」

偶然にも「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」の、初公開時の劇場はテアトル新宿であり、歴代2位の動員数を記録するなど大盛況だったとのことですが、今回の上映会でも立ち見が出る盛り上がりのなか、トークショーが行われました。

本作監督の岩井俊二さんと、映画評論家のモルモット吉田さんが登壇されました。
モルモット吉田さんの進行のもとトークが行なわれました。以下にその内容をレポートいたします。

まずは「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」についてのお話を伺いました。

●映像について
(モルモット吉田さん)
本作はテレビドラマの「if もしも」シリーズの1作品として放映されたものだが、当時のテレビドラマでは見かけない独特の映像が、とても異質だったのを覚えている。

(岩井俊二さん)
ビデオの映像では、作っているという手応えを感じられなかったので、フィルムの効果を使った。当時、ミュージッククリップではよくやられていた手法ではあった。

●2通りの結末がある「if もしも」の制約について(岩井俊二さん)
自分なりに「if もしも」について、先行作品を観ながら分析をした。そして、AとBの2つの選択肢があるとして、視聴者がAの結末を見終わったあとに、Bの結末を決して想像できないような作品にしたいと考えた。



●「小学生の駆け落ち」という発想について
(岩井俊二さん)
「少年ドラマシリーズ」の初期に放映された、山中恒さんの「とべたら本こ」の中で、男の子が女の子にプロポーズをするシーンがある。当時、自分と同い年くらいの小学生が、どういう局面でプロポーズをするようなことになるのか? という疑問が心に残った。それから「小学生の駆け落ちもの」を作ってみたいと思い続けてきた。

●子役たちの演出について
(岩井俊二さん)
さまざまな劇団から、一番演技のうまい子役を集めた。リハーサルでは、彼らに、大きくゆっくりとしゃべるのではなく、聴き取れないくらいの速さで台詞を言うようにしてもらった。そうすることで、ふだん友達としゃべっている時のような自然な演技となった。

また背丈が一緒だと、キャラクターの違いが分かりづらいので、小学校3年生から中学校3年生までの子役を集めて、あえて背丈にばらつきがあるようにした。また、作品の舞台は田舎の風景だが、流行りのファッションを取り入れるなど、新鮮に見えるように工夫をした。

●ロケ地の千葉県海上郡飯岡町(現在の旭市)について
(岩井俊二さん)
ミュージッククリップを撮影するのにうってつけの崖があって、何度か訪れており、あのあたりは良い景色だと思っていた。だが、
東日本大震災のときの津波によって、作品に登場する釣り具屋さんも、今ではなくなってしまった。


●音楽について
(岩井俊二さん)
ミュージッククリップを撮った際に知り合ったREMEDIOSに音楽を依頼した。最初に画を見てもらってから、いろいろと提案していただいた。とくに印象深かったのは、オープニング用にとREMEDIOSが持ってきた曲が、最初は寒々しい、スコットランドの民族音楽のように聞こえ、本作の舞台となった夏に合うのだろうかと思ったが、画と合わせてみると、予定調和ではない響きがとても良いと感じられたことだ。「FRIED DRAGON FISH」という作品でもREMEDIOSに音楽を担当してもらった。

続いて、「四月物語」についてお伺いしました。

●制作の経緯

(岩井俊二さん)
松たか子さんの曲のミュージッククリップとして依頼されたため、当初は映画にしようという意識はなかった。ちょうど「スワロウテイル」を撮影した後の燃え尽き気味の時期だったので、リハビリのような心持ちで、ゆったりと作っていた。


●劇中劇の「生きていた信長」について
(岩井俊二さん)
シネスコで撮影し、そのプリントを、撮影監督である篠田昇さんの自宅ガレージのコンクリートに擦り付けて傷をつけ、それをもう一度フィルムで撮影するという流れで、古いフィルムのような質感を出した。

当時は、ビデオかフィルムで撮るという方法があったが、現代のデジタル撮影のように、自由自在に映像を編集できなかったので、いろいろと工夫しながら、自分なりの画を模索していた。今の撮影現場は作ることで精一杯なところがあるが、当時はみんながいろいろなアイディアを出してくれる余裕があり、楽しかった。

篠田さんとの集大成は「花とアリス」。誰も作ったことのない画作りをしたいと思い、2年ぐらい研究した末、ハッセルブラッドカメラのファインダーに映る画を、撮影するという手法を取り入れた。


●岩井監督にとっての青春映画
(岩井俊二さん)
村上龍さんが原作/監督を務められた「限りなく透明に近いブルー」。
中学生のときに原作小説を読んで、内容はよく分からなかったが、なぜか惹かれた。その後、映画版が公開された。米軍基地の近くに住む、ある男の行き場のなさが描かれている青春物語で、何度観ても、最初から最後まで隙がなく、素晴らしい映画だと思う。ビートルズなどの洋楽を、日本の歌手がカバーしている本作のサウンドトラックも大切にしていた。

以上、映画制作の貴重なお話を伺い、トークは終了しました。

「観ずに死ねるか!傑作青春シネマ」出版記念特集上映会は、6/6(金)まで。残り5日となりました。今後も豪華なゲストが続々登場します。ぜひ、引き続き足をお運びください!